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ものづくりの主役は大手メーカーから個人へ

これまで、「製品」をつくることは、大手メーカーの特権だったように思います。なぜなら、製品をつくるには、いくつもの生産設備が必要で、それらを揃えるには巨額な資金が必要なため、個人が導入することは到底困難だったからです。だからといって、設備の費用を浮かせるために、その製造を外部に依頼したとしても、研究開発や金型などに投じた費用を回収できるだけの利益を確保するには、その製品を広く顧客に知らしめるための強力な宣伝力を持たねばなりませんから、もう個人で製品をつくることなど、ほぼ不可能といっても過言ではありませんでした。

しかし近年になって、コンピューターやネットワークといった、いわゆるIT技術の進化とともに、個人でも製品をつくることが可能になってきました。それはたとえば、3Dプリンタやレーザーカッターのようなコンピューター制御の工作ツールが小型で安価となり個人でも導入が可能になったことや、広告宣伝をインターネットを活用すればコストを掛けずに済むこと、個人でも世界中から1個単位で部品が入手できるようになったこと、さらには、クラウドファンディングを利用すれば、個人でも資金調達が可能になったことなどが挙げられます。

そして注目すべきは、この動きが同時に、「開発チームの構成員」も大きく変えようとしてるということです。従来、チームの構成員は、その企業に在籍する人たちだけで構成されることがほとんどでした。しかし今は、それとは真逆の方法に変わろうとしています。それは、世界各地に住む個人がインターネットを介して連携し、議論を交わしながら一つの製品を開発していくという方法です。

そのような流れの中で成功した例としては、ドローンとその部品を販売する3Dロボティクス社が挙げられます。創業者のクリスアンダーソンは当初、「DIYドローンズ」というコミュニティーを開設し、参加者のまとめ役をしていました。交流するうちに起業を思いつき、3Dロボティクスを立ち上げます。そして現在は数億ドル企業へと成長しました。同社は、製品に搭載する基板のCADデータやソフトウェアをネット上に公開しました。その結果、コミュニティーの参加者がコードを提供し、バグを直し、デザインのアイデアを出し、彼らの製品を補完するような商品までも開発するようになったといいます。クリスアンダーソンは、「もしソースを公開せず自分たちでエンジニアを雇わねばならないとすれば、いくらかかったかわからないし、仕事の質もこれほど高くなかったに違いない」と語っています。

この3Dロボティクス社の例のように、開発チームの構成員が、「企業に在籍する人たちに限られた集まり」から、「世界中に点在する小さな作り手たちの連携」に代わってきているのです。彼ら一人ひとりは、大手メーカーに比べれば、できることは限られるかも知れません。しかし、世界各地に点在する膨大な数の小さな作り手たちの連携によって生み出される創造力は、大手メーカーのそれよりも遥かに強大な力を持っているのです。

おそらくこの動きがこれから活発になるにつれ、今までにはなかった画期的なものが次々と生み出されてゆくことでしょう。その動きはもう既に始まっています。これからどんな製品が生まれていくのか、それを考えるとワクワクしてきますね!



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