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不老薬「ラパマイシン」


最近「ラパマイシン」という不老薬があるのを知りました。いろいろな不老薬がある中で最も効果が高いことが既に証明されている薬で、マウスや犬では実証済みだそうです。あとは人間で試すのみという段階に来ているとのこと。

こういう薬を多くの人が服用したら私たちの社会はどうなるのか。

私は多分、「個」にとっては嬉しいことかも知れないけれど、人類「全体」にとっては不幸を生むだろうと思っています。というのは、私は、「人類は全体を発展させるために個を犠牲にしてきた」のではないかと思っているからです。

おそらく人類は、この地球上にまだ人類が少ない頃、他のたくさんの生命体がいる中で「覇者」としての地位を獲得するために、とにかく「人類全体を発展させること」を何より重要に考えてきたのではないかと思います。

そのためには、「個」の寿命が長すぎることは、かえってデメリットになる。

これを会社にたとえると、たくさんいるライバルの中で生き残っていくためには、会社の中に年寄りばかりがいてもダメなのだと思います。年寄りは経験や知識は豊富でも、それゆえに行動力や適応力が劣る。だから新しい人も入れて、新陳代謝を行っていく必要があります。

人類も同じで、人類を継続的に発展させていくには、個が長生きすることはかえってマイナスになるのではないでしょうか。古いものがなくなり、新しいものに入れ替わっていくほうが人類が発展しやすいのだと思います。

だから人類は、あえて人間に「死」という機能をつけたのではないか。つまり、本来人間はもっと長く生きられる生き物だけれども、そこにあえて「死」という機能を後からつけたという考え方のほうが私には自然に感じられます。つまり、人類全体の発展のために、個に「死」という機能を付けたのではないかという考え方です。

「クールー病」という病気があります。これは人間が人間の肉を食べると発症する病気で、罹患すると脳細胞がスポンジのようなスカスカの状態になり、死んでしまうと言われています。

なぜ人間の肉を食べると死ぬかと言うと、人間同士が互いの肉を食い合うようなことをしていたら、人類が絶滅してしまう危険があるからだと思います。人類全体にとってよくないことだから、後からそれを防ぐ機能をつけたのだと思います。

さらに例をあげるとすれば、私たちは血縁関係の人間にはあまり恋愛感情を持たないようにできてる。血縁関係が近すぎると、似たような人間ばかりが生まれてしまい、人類全体が発展しない。だから血縁関係には魅力を感じないような機能が後から付けられていったのではないか。

このように、人類は、全体を発展させるために個に様々な機能を付け加えてきた。「死」もその機能の一つなのではないかと思います。

だから、もし本当に不老薬ができて、多くの人が服用してしまったら、確実に人類の発展は鈍化していくと思います。それどころかやがて大きな不幸に繋がるのではないでしょうか。

たとえば最近、アメリカで黒人差別の問題が起き、多くの都市でデモの列ができました。コロナよりも大問題に発展したそうです。

この差別の問題は、長いあいだ解決していない問題で、とても根が深い。だからこの問題はすぐには解決できない。

しかしちょっと失礼な結び付け方になってしまうのですが、もし人間の寿命が今の半分だったらどうでしょう? もしかしたら問題解決のスピードが早まる気がしないでしょうか。日韓の関係でも同じことが言えると思いますが、若い人はもう昔の慰安婦問題とか徴用工問題についてはよく知らないし、それほど興味を感じてはいないのではないか。実際みなさんはどうでしょうか。興味を感じますでしょうか。

それよりもこれからどういう未来をつくっていくか。そうした未来のことのほうに興味を持っている人が多い気がします。

でも不老薬ができて老人ばかりになってしまったら、いつまでも昔に起きた問題をほじくりだして摩擦衝突を起こしてしまう可能性がある。そんなふうに思ってしまいます。

ところで、わが社も、私がお爺さんになってもまだ社長だったら、あまり明るい未来はないですね。だからこそ若い人には活躍してもらいたいと思っています。

この不老薬を知ったことをきっかけに、会社のあり方においても、人類全体からみたらどのような意味があるのか。そして、人類全体をひとつの生命体として考えたらどうかなのか。そういった観点で考えてみることも大切ではないかと、あらためて感じました。


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