新製品の魅力とは
先日レストランで食事をしていたら、左斜め後ろの女性二人組の会話が耳に入ってきた。
「格付けチェック観た?」
「観てない。録画してあるけど」
「放送してる時に見るから面白いのに」
そういえば自分も、映画をいくつかPCに保存してあるけど、それよりも Amazon プライムとかで配信されてる映画ばかり観ている。保存してある映画の中にも良い映画はあるのに、それらは放置したままで、配信しているほうの映画ばかり観ている。それはたぶん、「ほかの誰かも観ている」ということに、何か魅力を感じているからだと思う。だから、女性が言っていた「放送してる時に見るから面白い」というのは何となく共感できる。
そのあと家に帰って、スマホを眺めていたら、偶然だがメトロノームが同期していく不思議な現象を捉えた動画を見た。バラバラのリズムを刻むいくつかのメトロノームを、振動の伝わりやすい台の上に置くと、共振現象が起き、やがて全てのメトロノームのリズムがピッタリ一致するのだ。
ほかの誰かも観ている番組とか映画を観たいという気持ちは、メトロノームを台に載せる行為と似ている気がした。それぞれがバラバラに過ごしていても、ときどき共通の台の上に乗り、社会との同期をとりたいというか、一体感を感じたいということなのかもしれない。
話しは飛ぶが、そう考えたとき、自分の中で「新製品」に対する考え方が変わってくる。多くの人は、既存製品よりも新製品に魅力を感じる。でもその理由は、新しいからというよりは、社会との一体感を感じたいからなのかもしれないと思った。古いものであったとしても、ほかの誰かも使っていると感じられれば、人は魅力を感じるのかもしれない。