人に与えるとクオリティが上がる
なんの仕事であれ、その内容を掘り下げてゆくと「人が人に価値ある何かを与え合う」というシンプルな行いであることに気がつきます。自分ではない人が関わるからこそ、逃げられないこともたくさんあるし、時には自分の意思とは違ったことをしなければならないこともあるでしょう。ただ、そうしたことが自分の意思一つだけでは開拓できなかった可能性を広げてくれるのだと思います。
私たちは、自分の好きなことを仕事にするべきでしょう。ただ、気をつけなければならないのが「好きな事をする」のと「好きな事を仕事にする」というのは、似て非なるものだということです。前者は人に貢献するしないに関わらず、好きな事をただすることであり、後者は好きなことを通して、人に貢献してゆくことを言います。つまり、好きな事を仕事にするというのは「好きな事を通して人に貢献する」こととも言えます。
この記事のタイトルでもある「人に与えるとクオリティが上がる」ですが、その意味は単純で「緊張感が伴うから」です。好きなことを自分勝手に行う分には、自分のさじ加減でどうにでも言い訳が出来ますし、苦しい事から逃げる事だって簡単なことですね。ただその分成長もなく、喜びも少ないでしょう。好きなことを通して、人に貢献できる喜びは、当然その価値を人に与えなければ味わえないものです。無論成長するわけですから、苦しいこともすることにはなるでしょう。しかし、それは一人で好き勝手やっていてはおそらく体験できなかったことです。人に与えることでクオリティが上がることの意味は、自分の怠け心を人や環境が律してくれることにもあるのですね。
人間は案外と怠け者な生き物です。完全に自分勝手できる環境だと、寝たり食べたりしており、思っている以上に大した事はできません。ただ、人のためとなるとそこによい緊張感が生まれ、思考も働くようになります。人間は誰しも「人に認められたい」という尊厳欲を持っており、ここに共鳴するものも少なからずあるのでしょう。自分に好きなことがあり、それの成長を望むならば、自分のつくり出した価値を人に与えることから始めてみてはいかがでしょうか。その連鎖が人々の中で生まれる事で、より良い社会がつくられていくのだと思います。