閲覧記事記事一覧へ

価値観は変化するもの

人にはそれぞれ価値観があります。何を良いとして何を駄目とするかは、その人それぞれの価値観が決めるものでしょう。これ自体は素晴らしい事です。ただその価値観は、変化を許容するものでなければなりません。コロコロと心変わりするという意味ではなくて、自分と違った人の価値観に触れた時にそれが優れているものであれば、そこから学び、自分の価値観を変えてゆくという姿勢が大切だという事です。

人の持つ価値観は、物差しのような働きで対象の価値を測ることを行いますが、工具の物差しと違う点は、その目盛りが変化するということです。心の物差し(価値観)は、目盛りが変化してゆくからこそ価値があるのだと思います。人と自分との間で意見が衝突したり、会話に摩擦が起こる場合にはお互いの価値観が違うという事です。その際に、互いが「価値観は変化するものだ」ということを意識できていれば、自分の価値観に固着する事は少なくなり、意見の乖離はむしろ新たな見解を生み出す可能性に変わるでしょう。

とは言っても、生理的に無理だとか、どうしても相容れない人というのもいるのは事実です。そのような人に対峙したときには、相手の価値観を認めることなどできず、ただただ不快感が生じる事と思います。そうした時には「相手との距離感を掴むこと」が大切です。これも、自発的に価値観を変化させるという事だと私は思います。というのも、相手との距離感を掴むというのは、「自分の価値観が通用しない人の存在を理解する」ということだからです。生理的に無理という人には、そうそう出会うものではないと思いますが、こうした心構えも大切だと思います。この時に自分の価値観を、変化を許容しない絶対的な価値観として持ってしまっていた場合には、相手と正面衝突することになり、大ダメージを受けてしまうでしょう。時に柔軟に、価値観を変化させてゆくことは自分を守る事にも繋がるのです。

価値観というのは、その人のしてきた経験や、学んできた事を根拠として形成されています。なので当然、歳を重ねるごとにその価値観は強いものにもなってゆくでしょう。ただここで言う「強くなる」というのは、同時に「固くなる」という意味でもあります。歳を重ねた人の価値観は、あらゆる気持ちや意味を内包したものであるがゆえに、深みも伴いますが、逆にそれを変化させてゆくことも難しいものになってゆきます。その原因は単純で、ある程度のことがわかった気になり、自ら学ぶ事をやめてしまうからです。いつまでも価値観を変化させていけるような、柔軟な心を保つためには、自ら学ぶ姿勢が常に必要なのだと思います。



関連記事

2014年03月31日(月)

日本から潮流を

いま、ものづくりの世界では革命が起きています。しかしその潮流は、ほとんどが海外を源流としているもので、メイカーズとか、パーソナルファブリケーションとか、オープ…

続きを読む
2020年07月23日(木)

風の谷のナウシカと社会共通資本

先日、映画館で「風の谷のナウシカ」を観た。いま私たちが直面しているコロナ危機と、この映画のストーリーとを重ねながら、これからの社会を考えてみたかったからだ。

続きを読む
2023年01月01日(日)

理性と感性、二極化する世界

続きを読む
2018年01月03日(水)

これから私たちに求められる「自分なりの哲学」

今まで企業というのは、属人化を防ぎ標準化に力を入れてきた。つまり、特定人物のスキルに依存することなく、誰がその仕事に就いても一定のクオリティーが保てるよう...

続きを読む
2014年05月29日(木)

死生観の変化

近隣で人類に起きた革命といえば、農業革命、産業革命、そしていまその真っ只中にある知識革命が挙げられます。そうした中革命として意外と意識されていないのが、抗生物…

続きを読む