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市場調査ではなく直感を

会社を経営をしていく上で、どのような商品を提供していくかを決定することは、死活問題に関わる大変重要な課題です。それらを決定するには、市場つまりマーケットの全体像を大まかにでも掴む必要があります。しかし、これだけ情報が無限に飛び交っていると、全体像を掴むことは非常に困難であることは明白です。そこで多くの企業がとる方法は、市場調査という方法でしょう。消費者から広く情報収集を行い、それのデータを元に論理分析し、結果を数値で示すのです。その上で決定された内容を示せば、社員は納得し安心しやすいかも知れません。しかし、私の経験からすると、この方法から得られる結果に会社の将来を委ねることは非常に危険です。

「群盲象を撫でる」ということわざを聞いたことがありますでしょうか。盲人たちが集まって象を触るのですが、盲人は象が見えないため、それぞれが一部分だけを触ります。鼻だけを触る人、牙だけ触る人、耳だけを触る人というように。そしてその盲人たちが集まり、象とはどういうものかを話し合いをするのですが、ちっとも全体像が見えてこないのです。このことわざは、部分の情報を繋げても、全体像は見えないということを意味しています。

社会のすべての存在は、互いが有機的に繋がっていて、決して切り離して考えることなどできません。ところが、市場調査という方法は、どんなに広く情報収集をしたとしても、それは自分たちの業界だけに留まることが多く、全体のうちのごく限られた部分について調査したものであり、それ以外の部分は無視するか切り離して考えます。しかもそこから出た分析結果というのは、AだからB、BだからC、というように機械的で2次元的な計算結果であって、互いに有機的に複雑に絡み合った3次元的な世界全体を忠実に再現したうえで計算された結果ではないのですね。

ではどうしたらよいかというと、私は直感によって決めていくしかないと思っています。直感と言うと、どこかいい加減と受け取ってしまうかもしれません。しかし私には、どんな商品が市場に受け入れられるか?という答えが、市場調査によって得られると考えることの方が、よほど不自然に思えます。直感は論理的ではないにせよ、実に多くの情報を源泉として生まれてくるものだと思うからです。

直感によって決めていく方法は、市場調査による方法とは逆のアプローチを辿ることになります。まず最初に、どのような商品を提供するかを決めてしまうのです。そしてその商品を提供した場合、市場はどう反応するか?という順序で考えていきます。しかし、そのような直感的に決定された内容は、ともに働く社員たちに理解してもらうことができません。「こういう商品をつくればいいような気がする」なんて言ったところで鼻で笑われてしまうでしょう。それはこれまでの人類歴史を見れば、一目瞭然でしょう。目に見えない世界を信じる東洋よりも、目に見える世界だけを信じる西洋の考えの方が、世界の文明の中心的役割をしてきたことからも明らかです。やはりどうしても直感的な意見は、論理的な意見よりも説得力がなく負けてしまうのですね。そこで、直感的な意見であっても市場調査による方法と同じように、資料をつくる必要があります。しかしその資料は最初から結論ありきです。つまり、市場調査によって決定していく方法においては、何を提供するかを決めるために資料をつくるのですが、直感によって決定していく方法においては、最初から何を提供するかを決めておいて、それに関連する情報を集め資料にまとめるのです。

それは悪い言い方をすれば工作かもしれません。しかし私は自らの経験からも直感を大切にしたいと思っています。なぜなら直感によって決めていく方法では、調査結果から何が売れるかというような、消去法的な発想ではなく、もっと大胆に「こういうものを提供したら消費者を驚かすことができる!」や「社会を変えられる!」という発想だってできるからです。そのほうがクリエイティブだし、何だか心がワクワクしませんか?



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